この記事では、DjangoにおけるModel とQuerySet について詳しく解説します。また、コードを交えて基礎的な使い方を紹介します。Model および QuerySet は Djangoアプリケーションでデータベースとの連携で重要なポイントとなるのでしっかり理解しましょう。
Modelクラスとは?
Djangoでは、Modelという概念があります。Modelは、データベースとのやり取りを行うためのオブジェクトです。つまり、データベースに保存されるデータを定義したものと言えます。
Modelの定義
Modelの定義は、以下のように行います。
from django.db import models
class MyModel(models.Model):
name = models.CharField(max_length=255)
age = models.IntegerField()
上記の例では、MyModelというModelを定義しています。このModelは、nameとageという2つのフィールドを持っています。nameはCharFieldで、最大文字数は255文字です。ageはIntegerFieldで、整数値を保存します。
DjangoのModelには、様々なフィールドを使用してデータを定義することができます。それぞれのフィールドには、オプションがあり、フィールドの振る舞いをカスタマイズすることができます。
以下は、よく使用されるフィールドの一覧です。
CharField
CharFieldは、文字列を保存するためのフィールドで、最大文字数を指定することができます。オプションとして、max_length
を指定することができます。例えば、以下のように定義することができます。
class MyModel(models.Model):
name = models.CharField(max_length=20)
IntegerField
IntegerFieldは、整数を保存するためのフィールドです。オプションとして、default
、blank
、null
、validators
を指定することができます。例えば、以下のように定義することができます。
class MyModel(models.Model):
age = models.IntegerField(default=0, blank=True, null=True)
FloatField
FloatFieldは、浮動小数点数を保存するためのフィールドです。オプションとして、default
、blank
、null
、validators
を指定することができます。例えば、以下のように定義することができます。
class MyModel(models.Model):
rating = models.FloatField(default=0.0, blank=True, null=True)
BooleanField
BooleanFieldは、真偽値を保存するためのフィールドです。オプションとして、default
、blank
、null
を指定することができます。例えば、以下のように定義することができます。
class MyModel(models.Model):
is_active = models.BooleanField(default=True, blank=True, null=True)
DateField
DateFieldは、日付を保存するためのフィールドです。オプションとして、auto_now
、auto_now_add
、default
、blank
、null
、validators
を指定することができます。例えば、以下のように定義することができます。
class MyModel(models.Model):
date = models.DateField(auto_now_add=True, blank=True, null=True)
TimeField
TimeFieldは、時間を保存するためのフィールドです。オプションとして、auto_now
、auto_now_add
、default
、blank
、null
、validators
を指定することができます。例えば、以下のように定義することができます。
class MyModel(models.Model):
time = models.TimeField(auto_now_add=True, blank=True, null=True)
DateTimeField
DateTimeFieldは、日時を保存するためのフィールドです。オプションとして、auto_now
、auto_now_add
、default
、blank
、null
、validators
を指定することができます。例えば、以下のように定義することができます。
class MyModel(models.Model):
created_at = models.DateTimeField(auto_now_add=True, blank=True, null=True)
updated_at = models.DateTimeField(auto_now=True, blank=True, null=True)
上記の例では、auto_now_add
とauto_now
を使用して、作成日時と更新日時を自動的に設定するようにしています。
TextField
TextFieldは、長い文字列を保存するためのフィールドです。オプションとして、default
、blank
、null
、validators
を指定することができます。例えば、以下のように定義することができます。
class MyModel(models.Model):
description = models.TextField(default="", blank=True, null=True)
これらのフィールドのオプションについては、Djangoの公式ドキュメントを参照してください。
Modelのマイグレーションについて
Djangoでは、Modelを定義した後に、そのModelをデータベースに反映させるために、マイグレーションを行います。マイグレーションとは、Modelの変更をデータベースに反映させる処理のことです。
マイグレーションを行うためには、以下の手順を実行します。
- makemigrationsコマンドを実行して、マイグレーションファイルを生成する
- migrateコマンドを実行して、マイグレーションファイルをデータベースに反映する
以下は、上記手順の具体的な例です。
- makemigrationsコマンドを実行して、マイグレーションファイルを生成する
$ python manage.py makemigrations
上記のコマンドを実行すると、マイグレーションファイルが生成されます。このマイグレーションファイルには、Modelの変更内容が記述されています。
- migrateコマンドを実行して、マイグレーションファイルをデータベースに反映する
$ python manage.py migrate
上記のコマンドを実行すると、マイグレーションファイルがデータベースに反映されます。この際、データベースにテーブルが存在しない場合は、テーブルが自動的に作成されます。
マイグレーションファイルは、複数の開発者が同じModelを編集している場合や、開発環境と本番環境のデータベース構造を同期させる場合にも便利です。また、マイグレーションファイルによって、データベースの変更履歴を管理することができ、必要に応じて過去の状態に戻すことができます。
QuerySet を使ったModel操作
DjangoにおけるModelには、QuerySetという概念があります。QuerySetは、データベースからデータを取得するためのオブジェクトであり、ORMを使用してデータを操作する際によく使われます。
以下は、QuerySetを使用してデータを取得する例です。
from myapp.models import MyModel
# MyModelの全てのレコードを取得する
records = MyModel.objects.all()
# nameが"John"のレコードを取得する
records = MyModel.objects.filter(name="John")
上記の例では、全てのレコードを取得するために、all()
メソッドを使用しています。また、filter()
メソッドを使用して、nameが"John"のレコードを取得しています。
QuerySetは、データベースから取得したデータをPythonオブジェクトとして扱うことができます。そのため、取得したデータを操作する際には、Pythonのリストや辞書型などと同様の方法で操作することができます。
例えば、以下のようにQuerySetから取得したデータをforループで処理することができます。
from myapp.models import MyModel
# MyModelの全てのレコードを取得する
records = MyModel.objects.all()
# 取得したレコードをforループで処理する
for record in records:
print(record.name)
上記の例では、全てのレコードを取得して、nameを出力しています。
QuerySetでは、データの取得だけでなく、データの更新や削除も行うことができます。以下は、QuerySetを使用してデータを更新する例です。
from myapp.models import MyModel
# nameが"John"のレコードを取得する
records = MyModel.objects.filter(name="John")
# 取得したレコードのageを更新する
for record in records:
record.age = 30
record.save()
上記の例では、filter()
メソッドを使用して、nameが"John"のレコードを取得しています。そして、取得したレコードのageを更新して、save()
メソッドを使用してデータベースに保存しています。
QuerySetには、様々な便利なメソッドが用意されています。以下では、よく使われるメソッドを紹介します。
get()
get()
メソッドは、条件に合致する単一のオブジェクトを取得します。条件に合致するオブジェクトが複数存在する場合は、MultipleObjectsReturned
例外が発生します。条件に合致するオブジェクトが存在しない場合は、DoesNotExist
例外が発生します。
例えば、id
が1のレコードを取得する場合は、以下のように書きます。
from myapp.models import MyModel
# idが1のレコードを取得する
record = MyModel.objects.get(id=1)
exclude()
exclude()
メソッドは、条件に合致しないオブジェクトを取得します。例えば、age
が20以下のレコードを取得する場合は、以下のように書きます。
from myapp.models import MyModel
# ageが20以下のレコードを取得する
records = MyModel.objects.exclude(age__lte=20)
order_by()
order_by()
メソッドは、オブジェクトを指定したフィールドでソートします。複数のフィールドでソートすることもできます。例えば、age
でソートする場合は、以下のように書きます。
from myapp.models import MyModel
# ageでソートする
records = MyModel.objects.order_by('age')
複数のフィールドでソートする場合は、フィールド名をカンマ区切りで指定します。以下は、age
で昇順、id
で降順にソートする例です。
from myapp.models import MyModel
# ageで昇順、idで降順にソートする
records = MyModel.objects.order_by('age', '-id')
count()
count()
メソッドは、条件に合致するオブジェクトの件数を取得します。例えば、age
が20以上のレコードの件数を取得する場合は、以下のように書きます。
from myapp.models import MyModel
# ageが20以上のレコードの件数を取得する
count = MyModel.objects.filter(age__gte=20).count()
exists()
exists()
メソッドは、条件に合致するオブジェクトが存在するかどうかを判定します。例えば、age
が20のレコードが存在するかどうかを判定する場合は、以下のように書きます。
from myapp.models import MyModel
# ageが20のレコードが存在するかどうかを判定する
exists = MyModel.objects.filter(age=20).exists()
values()
values()
メソッドは、指定したフィールドの値を取得します。返り値は、辞書型オブジェクトのリストです。例えば、name
とage
の値を取得する場合は、以下のように書きます。
from myapp.models import MyModel
# nameとageの値を取得する
records = MyModel.objects.values('name', 'age')
values_list()
values_list()
メソッドは、指定したフィールドの値をタプルで取得します。例えば、name
とage
の値をタプルで取得する場合は、以下のように書きます。
from myapp.models import MyModel
# nameとageの値をタプルで取得する
records = MyModel.objects.values_list('name', 'age')
以上が、QuerySetの他のよく使われるメソッドです。QuerySetには、これ以外にも多くのメソッドがありますので、Djangoの公式ドキュメントを参照してください。
QuerySet のサブクラスについて
DjangoのORMでは、QuerySetのサブクラスを作成することができます。サブクラスを作成することで、オリジナルのQuerySetに独自のメソッドを追加することができます。
QuerySetは、ORMで使用されるオブジェクトであり、データベースからデータを取得するためのインターフェースを提供します。QuerySetは、様々なメソッドを持っており、これらのメソッドを使用して、データのフィルタリング、ソート、集計などを行うことができます。しかし、QuerySetには、あなたが必要とするメソッドがない場合もあります。このような場合に、QuerySetのサブクラスを作成して、必要なメソッドを追加することができます。
サブクラスを作成する方法は、以下の通りです。
- QuerySetのサブクラスを定義する
- カスタムメソッドを追加する
- モデルにカスタムマネージャーを追加する
以下では、サブクラスの作り方について詳しく説明します。
QuerySet のサブクラスを定義する
サブクラスを定義するには、django.db.models.query.QuerySet
を継承するクラスを作成します。以下は、サブクラスの例です。
from django.db.models.query import QuerySet
class MyQuerySet(QuerySet):
pass
カスタムメソッドを追加する
サブクラスにカスタムメソッドを追加するには、通常のPythonクラスと同様に、メソッドを定義します。以下は、サブクラスにpublished()
メソッドを追加する例です。
from django.db.models.query import QuerySet
class MyQuerySet(QuerySet):
def published(self):
return self.filter(status='published')
上記の例では、published()
メソッドを追加しています。このメソッドは、status
がpublished
のオブジェクトのみをフィルタリングして返します。
モデルにカスタムマネージャーを追加する
サブクラスを定義したら、それをモデルに追加することができます。モデルには、複数のマネージャーを追加することができます。マネージャーは、ORMでデータベースにアクセスするためのインターフェースです。
以下は、モデルにカスタムマネージャーを追加する例です。
from django.db import models
from myapp.querysets import MyQuerySet
class MyModelManager(models.Manager):
def get_queryset(self):
return MyQuerySet(self.model, using=self._db)
class MyModel(models.Model):
name = models.CharField(max_length=255)
status = models.CharField(max_length=20)
objects = models.Manager()
my_manager = MyModelManager()
上記の例では、MyModelManager
という新しいマネージャーを追加しています。このマネージャーは、get_queryset()
メソッドをオーバーライドして、MyQuerySet
を返します。そして、MyModel
には、通常のマネージャーとしてobjects
と、カスタムマネージャーとしてmy_manager
を追加しています。
カスタムマネージャーを追加することで、モデルのクエリ操作に新しい機能を追加することができます。マネージャーは、モデルのクエリセットを返すため、新しいメソッドを追加することで、QuerySetに新しい機能を追加することができます。
QuerySetのサブクラスを使用することで、Django ORMをより柔軟にカスタマイズすることができます。