Ruby on Rails(以下、Rails )は、Rubyで書かれたWebアプリケーションフレームワークで、MVC(Model-View-Controller)アーキテクチャを採用しています。このアーキテクチャは、アプリケーションを3つの部分に分割し、それぞれが独自の役割を担います。
Contents
Rails の MVC アーキテクチャ
Ruby on Rails の MVCアーキテクチャは、ユーザーインターフェース、データ、および制御ロジックを分離することによって、アプリケーションの保守性と拡張性を向上させることを目的としています。
Rails の MVCは、アプリケーション内でコードを分離し、役割と責任を分割することによって、各コンポーネントの変更に対する影響を最小限に抑えます。Rails の MVCには、以下の3つのコンポーネントがあります。
Model とは
Modelは、アプリケーションのデータを処理するためのコンポーネントです。データベースなどの永続的なデータストレージとやり取りするためのAPIを提供することが一般的です。
ActiveRecordは、Railsで使用される一般的なModelフレームワークです。Modelは、データベースにアクセスし、データの保存、更新、削除などを行います。Modelはまた、ビジネスロジックを実装するために使用される場合もあります。
View とは
Viewは、ユーザーに表示される情報を生成するためのコンポーネントです。HTML、CSS、およびJavaScriptを使用して、ユーザーインターフェースを構築します。
Viewは、Webページやページの一部分を表示するために使用され、ユーザーの入力を受け取ることもあります。
Viewは、Modelからデータを取得して表示するために使用されます。
Controller とは
Controllerは、ModelとViewを結びつけるためのコンポーネントです。ユーザーの要求に応じて、Modelからデータを取得し、Viewにデータを渡します。
また、ユーザーからの入力を受け取り、制御ロジックを実行します。Controllerは、ルーティングと協調して、適切なアクションを呼び出します。
Rails のルーティング
Railsのルーティングは、HTTPリクエストをアプリケーションの適切なコントローラーとアクションにマッピングするための仕組みです。ルーティングは、config/routes.rbファイルで定義されます。
ルーティングは、アプリケーションの機能をURLにマッピングするために非常に重要です。適切に設計されたルーティングは、アプリケーションのセキュリティと可読性を向上させます。
以下は、ルーティングの例です。
Rails.application.routes.draw do
get 'articles' => 'articles#index'
get 'articles/:id' => 'articles#show'
post 'articles' => 'articles#create'
end
この例では、3つのルートが定義されています。
- GET /articles:articlesコントローラーのindexアクションを呼び出します。
- GET /articles/:id:articlesコントローラーのshowアクションを呼び出します。:idは、記事のIDを表すパラメーターです。
- POST /articles:articlesコントローラーのcreateアクションを呼び出します。
ルーティングは、アプリケーションの機能をURLにマッピングするために非常に重要です。適切に設計されたルーティングは、アプリケーションのセキュリティと可読性を向上させます。
Rails の Model の実装
Ruby on RailsでModelを実装するには、ActiveRecordを使用します。ActiveRecordは、データベースのテーブルと対応するモデルを作成することができます。
以下のように、ActiveRecordを使用して、Usersテーブルに対応するUserモデルを作成することができます。
class User < ActiveRecord::Base
end
この例では、Userモデルが定義されています。UserモデルはActiveRecord::Baseクラスを継承しています。これにより、UserモデルはUsersテーブルに対応することができます。
上記の例では、ActiveRecordがusersテーブルに関連付けられたUserモデルを自動的に推測します。しかし、ActiveRecordが自動的に推測できない場合は、テーブル名を指定する必要があります。
class User < ActiveRecord::Base
self.table_name = 'my_users'
end
上記の例では、Userモデルはmy_users
テーブルに関連付けられています。
Userモデルには、Usersテーブルのカラムと同じ名前の属性を定義することができます。この属性を使用することで、Usersテーブルにデータを保存することができます。
class User < ActiveRecord::Base
# テーブルのカラムと同じ名前の属性を定義する
attr_accessor :name, :email, :password
end
上記の例では、Userモデルには、name
、email
、およびpassword
属性があります。これらの属性を使用して、Usersテーブルにデータを保存することができます。
Controller内でActiveRecordを使用する場合、Strong Parametersを使用して、フォームから送信されたデータを取得します。
Strong Parametersは、Rails 4以降のバージョンで使用できる機能であり、フォームから送信されたデータを制御することができます。
以下は、Strong Parametersを使用して、フォームから送信されたデータを取得するcreateアクションの例です。
class UsersController < ApplicationController
def create
user = User.new(user_params)
if user.save
redirect_to user_path(user)
else
render 'new'
end
end
private
def user_params
params.require(:user).permit(:name, :email, :password)
end
end
上記の例では、create
アクションによって、新しいUserオブジェクトが作成されます。user_params
メソッドは、Strong Parametersを使用して、フォームから送信されたデータを取得します。
Userオブジェクトが保存された場合は、ユーザーページにリダイレクトされます。保存に失敗した場合は、新規ユーザーフォームが再表示されます。
Modelが複雑になった場合、複数のModelに分割することもできます。この場合、ActiveRecordを使用して、複数のテーブルを関連付けることができます。これにより、Modelを分割することができます。
また、ActiveRecordを使用して、複雑なクエリを実行することもできます。
Modelを正しく実装することで、データの取得、保存、更新、削除などを行うことができます。また、ActiveRecordを使用することで、データベースとのやり取りを簡単にすることができます。
Rails の Controller の実装
Controllerは、RailsアプリケーションにおけるMVCアーキテクチャのコントロールロジックを担当するコンポーネントです。Controllerは、ルートに対応するアクションを指定し、モデルからデータを取得し、Viewにデータを渡します。
Controllerには、複数のアクションを持つことができます。各アクションは、HTTPメソッドを指定して定義されます。アクションは、リクエストに対してレスポンスを返す役割を持っています。
例えば、ユーザーがWebページを表示するためにブラウザにリクエストを送信すると、Controllerはそのリクエストに対し、モデルから必要なデータを取得してViewに渡し、ブラウザにレスポンスを返します。
以下は、例としてUsersコントローラーのindexアクションを示します。
class UsersController < ApplicationController
def index
@users = User.all
end
end
上記の例では、Usersコントローラーが定義されています。index
アクションは、全てのUserオブジェクトを取得し、@users
インスタンス変数に格納します。Viewは、@users
インスタンス変数を使用して、ユーザーデータを表示します。
Controllerは、MVCアーキテクチャの中でビジネスロジックを記述するための場所です。ビジネスロジックは、モデルに格納されているデータに基づいて、アプリケーションの振る舞いを決定します。
Controllerは、アプリケーションのビジネスロジックを実装し、ユーザーのアクションに対する応答を返します。
Controllerは、Viewとモデルの間の仲介役として機能します。Controllerは、Viewに必要なデータを提供し、Viewが必要なデータを取得するために、モデルを呼び出します
。モデルは、データベースや外部APIからデータを取得し、Controllerに返します。Controllerは、このデータをViewに渡すことで、ユーザーに情報を表示します。
アプリケーションのビジネスロジックが複雑になってきた場合、Controllerは、分割して複数のファイルに分けることができます。
また、ActionPackには、RESTfulなルーティングを実装するためのヘルパーが含まれています。これにより、Controllerのアクションを自動的に生成することができます。
Strong Parametersを使用することで、フォームから送信されたデータを制御することができます。
以下は、Strong Parametersを使用して、フォームから送信されたデータを取得するcreateアクションの例です。
class UsersController < ApplicationController
def create
@user = User.new(user_params)
if @user.save
redirect_to @user
else
render 'new'
end
end
private
def user_params
params.require(:user).permit(:name, :email, :password)
end
end
上記の例では、create
アクションによって、新しいUserオブジェクトが作成されます。user_params
メソッドは、Strong Parametersを使用して、フォームから送信されたデータを取得します。
Userオブジェクトが保存された場合は、ユーザーページにリダイレクトされます。保存に失敗した場合は、新規ユーザーフォームが再表示されます。
以上が、Ruby on RailsでControllerを実装する方法です。Controllerを正しく実装することで、アプリケーションの制御ロジックを実装することができます。
また、Strong Parametersを使用することで、フォームから送信されたデータを制御することができます。
Rails の View の実装
ViewはHTML、CSS、JavaScriptなどを使用して、ユーザーインターフェースを構築する役割を持つコンポーネントです。Viewは、Controllerからデータを受け取り、ユーザーに表示する情報を生成します。
Rails における Viewは、ERB(Embedded Ruby)と呼ばれるテンプレートエンジンを使用しています。ERBは、RubyのコードをHTMLに埋め込むことができます。これにより、Viewは動的なコンテンツを生成することができます。
Viewは、RailsのMVCアーキテクチャの中で、ユーザーインターフェースを表す部分です。Webアプリケーションでは、Viewは、Controllerから渡されたデータを使用して、HTML、CSS、JavaScriptなどを使用して、ページを構築します。Viewは、ユーザーインターフェースの表現という役割を担っています。
Viewでは、Rubyのコードを使用して、動的なコンテンツを生成することができます。たとえば、条件分岐や反復処理を行うことができます。
また、Viewでは、Partialを使用して、コードの再利用を行うことができます。Partialは、View内で使用される部分コードのセットです。
Partialは、Viewのコードの再利用を促進し、Viewの保守性を向上させることができます。
以下は、Viewの例です。
<!-- app/views/posts/show.html.erb -->
<h1><%= @post.title %></h1>
<p><%= @post.body %></p>
<%= link_to 'Edit', edit_post_path(@post) %> |
<%= link_to 'Back', posts_path %>
この例では、@pos
tインスタンス変数からデータを取得し、ページタイトルと本文を表示しています。link_to
ヘルパーを使用して、EditとBackのリンクを表示しています。
link_to
ヘルパーは、指定されたURLにリンクするHTMLリンクを生成するために使用されます。@post
インスタンス変数は、Controllerから渡されたデータを表します。
Controllerは、モデルからデータを取得し、Viewに渡します。Viewは、このデータを使用して、HTMLを生成します。
Viewでは、eachループを使用して、複数の要素を反復処理することもできます。以下は、eachループを使用して、ブログの記事のリストを表示する例です。
<!-- app/views/posts/index.html.erb -->
<h1>Posts</h1>
<ul>
<% @posts.each do |post| %>
<li><%= link_to post.title, post_path(post) %></li>
<% end %>
</ul>
<%= link_to 'New Post', new_post_path %>
この例では、@postsインスタンス変数から記事のリストを取得し、eachメソッドを使用して、リストの各要素を反復処理しています。link_toヘルパーを使用して、記事のタイトルにリンクを追加しています。
Viewでは、Partialを使用して、コードの再利用を行うことができます。Partialは、View内で使用される部分コードのセットです。
Partialは、Viewのコードの再利用を促進し、Viewの保守性を向上させることができます。以下は、Partialを使用して、ブログの記事のリストを表示する例です。
<!-- app/views/posts/index.html.erb -->
<h1>Posts</h1>
<ul>
<%= render partial: 'post', collection: @posts %>
</ul>
<%= link_to 'New Post', new_post_path %>
この例では、render
メソッドを使用して、Partialを表示しています。partial
オプションには、表示するPartialの名前を指定します。collection
オプションには、Partialに渡すデータを指定します。Partialは、_post.html.erbという名前のファイルに保存されます。
Viewでは、ヘルパーを使用して、HTMLを生成することができます。ヘルパーは、View内で使用されるメソッドのセットです。ヘルパーは、Viewのコードの再利用を促進し、Viewの保守性を向上させることができます。